IOT用

環境廃棄物の解決に貢献 - 未来を守る再利用可能、
リサイクル可能、追跡可能な梱包

事例の背景

世界の水産業界は、毎年約5億個の使い捨てのポリスチレン製魚箱が埋立地や海、食物連鎖に流入する原因となっています。ポリスチレンが環境、経済、健康に与える影響は計り知れず、その使用を続けることは、もはや環境的にも社会的にも容認できるものではありません。ポリスチレンは、世界中の梱包業界（および埋立地）の大半を占めています。その主な理由は、軽量で熱効率に優れているという同等の望ましい特性を持つ代替品がほとんど存在しないことにあります。 TomKat KoolPak®は、イノベーターであり釣り人であるトムとキャス・ロングによって生み出された製品です。彼らが家族で経営する会社TomKat Line Fishは、クイーンズランド州最北部のアウターバリアリーフで操業している、持続可能な天然魚糸釣りの会社です。 KoolPakは、粘り強い決意と、自社製品と周囲の環境の両方への敬意から生まれました。糸釣り天然魚輸送のソリューションとして始まったこのプロジェクトは、温度に敏感な生鮮品の梱包と輸送に革命を起こし、私たちの産業と未来を守っています。

事業の課題

この活動は、水産業界の高い優先順位に対応したものです。

今こそ変革の時

世界的に、水産業界の多くの関係者は長年に渡り発泡スチロール（EPS）製の魚箱の代替となる、環境に配慮し、熱的に同等かつ持続可能な製品を求めてきました。 EPSの廃止が目前に迫っており、この新製品は、開発期間は数年ですが、これ以上ないほどの良いタイミングで登場しました。オーストラリアの国家プラスチック計画2021では、食品・飲料容器、バラ詰めや成形消費者包装に使用されるEPSは、2022年12月までに段階的に廃止されることになっています。 2025年までに、商品の商業輸送に使用されるものを含め、すべての梱包材は再利用可能、リサイクル可能、または堆肥化可能なものでなければならなくなります。水産業界は、コスト競争力があり、かつ廃棄物問題を発生させない代替品を必要としているのです。世界の水産業界は、毎年約5億個の使い捨てのポリスチレン製魚箱の埋立てと海の汚染に対する原因となっており、これは、地球を6.5周するのに十分な量に相当します。他の一次生産者や製薬業界を考えても、その廃棄物の量は圧倒的です。代替ソリューションは、リサイクル可能かつ再利用可能で、コールドチェーンでの使用や定期的な使用停止に耐えうる実行可能な代替品として、十分な熱特性を有していなければなりません。このニーズに対応するため、いくつかの代替案が試みられて来ました。しかしそれらは主に使い捨てで、耐久性に欠け、熱性能が証明されていません。コールドチェーン物流において、温度管理の不良は、生鮮食品にとって最大のリスクの1つです。サービスレベルの管理が不十分で、コールドチェーンのトレーサビリティや可視性が不十分であるという問題を抱えているのです。リアルタイムでの情報不足と、コールドチェーンでの事故が魚箱の品質に与える影響に関する洞察の欠如は、水産物のコールドチェーン物流が現在も直面する最大の課題です。

その活動は困難で、高いレベルのイノベーションが求められ、予定の結果を達成するために直接的な行動や拡張が必要でした

未完成の道をたどる

ポリスチレン包装の使用は、世界中で蔓延しています。水産業を含むあらゆるビジネスにおいて、環境に配慮した持続可能な新しい梱包への移行には、費用対効果の高い等価交換が必要です。このニーズに応えるため、トムとキャスは、梱包のデザインと製造という未知の領域に踏み込まねばなりませんでした。課題には、水産物のような温度に敏感な商品の輸送や保管のために、再利用やリサイクルが可能で、ポリスチレンと同等以上の保温性能を持つ軽量な素材を見つけることなどがありました。その結果作られたTomKat KoolPak®は、フレーム、インテリア、テクノロジーの3つの部品で構成され、それぞれが一体となって機能するように設計されています。 3つの部品の関係は、熱的に重要な役割を果たすだけでなく、その他にも多くの望ましい効果を提供します。これは、飛行機への積み込みのための駐機場での待ち時間など、市場へ向かう間にコールドチェーンから外れてしまう可能性がある商品を保護するために非常に重要です。

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戦略的目標

この活動はエンドユーザー主導で行われ、水生環境の保護や修復、または水産物産業が環境に与える悪影響の軽減に貢献する成果をもたらしました。

地元の漁師が

TomKat Line Fishは、持続可能な漁業、廃棄物削減、グレートバリアリーフの健全性と回復力の維持を目的としています。 2016年にはシーフード加工認定を取得し、持続可能な方法で糸釣り天然高級リーフフィッシュの卸売販売から、シェフやレストラン、一般消費者への直接販売に移行しました。トムとキャスの信念は、未来に向けた持続可能な漁業です。そのため、彼らは自分たちの高級魚であるリーフフィッシュを直接市場へ輸送するための、環境に配慮した代替手段が必要だったのです。ポリスチレンの使用は、彼らの信念にそぐわないものでした。彼らは実行可能な代替案が存在しないことに気づき、ニーズベースイノベーターなら誰でもやることを実行したのです。つまり、自分たちの手で作り出そうとしたのです。「アイデアはあったし、コンセプトの実証もできましたが、プロジェクトは非常に困難でした」

トムは、漁業を始める前は配管工だったため、代替の梱包材として再利用できると思われる断熱材をいくつか知っていました。それが挑戦でした。新会社「TomKatグローバル・ソリューションズ」を設立し、そこで研究開発に力を入れることにしたのです。持続可能の原則である「ゆりかごからゆりかごまで」を満たすためには、箱を再利用し、材料をリサイクルできることが不可欠でした。耐久性があり、洗浄すれば何度でも再利用でき、漏れを防ぐための使い捨てプラスチック製ライナーも不要で、保管や輸送がしやすいように平らに梱包できる製品が欲しかったのです。そこで彼らは、KoolPakシステムのための根本的なリユース・リサイクルプロセスに着目しました。また、材料の混在を排除しました。これは、使用後のリサイクルを制限することになるため、多くの代替製品において深刻な問題となっていました。 KoolPakの材料仕様は、完全にリサイクル可能で、市場のニーズと期待を上回るほどの熱性能を提供するように開発されました。

再利用は、ユーザーや環境にとって多くの利点があります。ユーザーにとって、経済面では、再利用するたびにコストダウンにつながるというメリットがあり、環境面では、最終的に製造する箱の数が少なくて済むというメリットがあります。単純に、1つのKoolPakが5回使用されるとすると、現在オーストラリアで使用されている年間1,000万個のポリスチレン箱に見合うKoolPakは、わずか200万個です。

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製品ソリューション

TomKat KoolPakとは？

TomKat KoolPak®は、イノベーターであり釣り人であるトムとキャス・ロングによって生み出された製品です。彼らが家族で経営する会社TomKat Line Fishは、クイーンズランド州最北部のアウターバリアリーフで操業している、持続可能な天然魚糸釣りの会社です。 TomKat KoolPak®は、生鮮食品や医薬品などのコールドチェーン製品の輸送・保管に必要な保温品質をすべて備えた、強靭で軽量な容器です。製品開発の背景にあるのは、再利用やリサイクルが可能な技術だけではありません。箱、蓋、保温ライナーの3つの部品すべてにNFCタグを搭載することで、使用後に認可されたリサイクルセンターでそれぞれをスキャンし、複数回使用することが可能になり、お客様は、環境に関する認証を受けることができます。これは環境に配慮し、強靭で積み重ね可能な軽量の断熱箱なのです。優れた実績と信頼性のある熱性能を持ち、複数回使用できるように設計されたKoolPakシステムは、製品を保護し、環境保全、社会的信用向上を実現します。特許を取得した密閉型抗菌食品用ライナーが、汚染からのさらなる保護を提供します。 KoolPakは、平らに積み重ねることができるため、効率的な輸送・保管が可能で、100%リサイクルすることができ、「ゆりかごからゆりかごまで」という持続可能の原則に則っています。
クイーンズランド州農水産局による独自調査により、KoolPakの効果的な熱性能を示す公式試験データが発表されました。以下の結果は、KoolPakがより優れた熱性能を保有していることが示しています。

KoolPakアプリは、NFCとブロックチェーン技術を使用して、各KoolPakのライフサイクル全体を追跡します。さらに当社は、SAGとの連携によって、アプリケーションに適した電池不要のNFC温度センサータグを開発しました。これによって、お客様は商品の出所を証明し、委託品の安全性と鮮度に自信を持つことができます。さらに、食品廃棄物による追加費用の発生を防ぐことが可能になるのです。必要なのは携帯電話だけです。オーストラリアは2025年までに、より持続可能な梱包の実現を義務化します。このデータは、企業が持続可能な梱包に関する目標を検証するのに役立ちます。 EPS製の箱は壁が厚いため、KoolPakは、同サイズのEPS製の箱よりも内部容量が大きく、また、航空会社の認可を得て、同サイズのEPS製の箱よりも25％多い25kgを収納することができます。環境に対して強く配慮し、リサイクル可能で再利用を前提として設計された製品は、ユーザーにとっての大きな経済的利益をもたらします。市場試験において、KoolPakは簡単に10回再利用できることが分かっており、一部の試験では20回以上再利用されています。また、フラットパック方式を採用することで、輸送コストや使用中における空箱の保管スペースを最小限に抑え、さらなるコスト削減を実現しています。

事業上のメリット

梱包プラス＋次世代追跡技術内蔵

KoolPakは、電池不要のNFCによって、トレーサビリティと温度センシングを保温容器に組み込むことで、梱包を新たなレベルへと導きます。 LUK ソリューションズによって開発されたKoolPakアプリと組み合わせて、ブロックチェーン技術により、KoolPakの再利用から最終的なリサイクルまで追跡することができます。さらに、「ゆりかごからゆりかごまで」の持続可能の原則に基づき、90%再生ポリプロピレンで作られた外蓋と底板の材料は、ペレット化されて新しい蓋と底板に再生することができ、保温ライナーの材料は、新しい製品に再生することが可能です。この追跡技術により、TomKatグローバル・ソリューションズは、販売したすべてのKoolPakの購入者を指定し、追跡することができます。この技術レベルにより、お客様は製品の出所を証明できるだけでなく、何度も使用した後のKoolPakをリサイクルセンターでスキャンし、費用対効果を検証し、環境上の信用情報を報告することができるのです。またTomKatは、リサイクルされていない製品を追跡する手段も提供しており、より高度な環境報告書を作成することができます。
LUKは、SAGおよび温度センサータグの機能向上と並行して、当社のソフトウェアを大幅に進歩させました。Feig Electronic社と共同開発したゲートスキャン装置で、温度センサータグを含む複数のタグを一度に高速で読み取ることが可能になったのです。また、ユーザーが箱を最大限にスキャンすることができるように、各箱には電池不要の温度感知タグが埋め込まれています。これによって、ユーザーは、箱を開けることなく委託品の温度を監視することができます。
ブロックチェーンによる追跡・トレーサビリティ機能は、市場試験で好評を博しています。例えば、生産者にとっては、漁師や農家からサプライチェーン全体のデータをレストランに提供し、そのレストランがそのデータをQRコードに変換してメニューに追加することができるという可能性があります。また、トムとキャスにとっては、浜辺に打ち上げられたKoolPakがどのような経緯でそこにたどり着いたかを自分たちで追跡することができるという意味もあります。これらはすべて、ロングの事業を支える「社会的責任の遂行」という信念の一環なのです。

他の環境利用

魚から医薬品、チキンからチョコレート、牛肉からベリー類まで、温度に敏感なものや生鮮品は、新鮮で安全に保たれることが要求されます。つまり、この問題は水産業に限ったことではないのです。 KoolPakは、持続可能な代替梱包システムを作るという1つのビジョンを持って、様々なユーザーやメーカーを呼び集めました。漁師としてトムとキャスは、当初水産業をターゲットにしようと考えていましたが、KoolPakは水産業にとどまりません。彼らはすぐに、KoolPakにはあらゆる分野でメリットがあること気づきました。つまり、KoolPakは、環境からポリスチレンや使い捨てプラスチックを取り除くという点で、もっと大きな、はるかに大きな役割を果たすことができるということです。
食品の生産と輸送は世界の主要産業であり、オーストラリアでも輸出能力の拡大に伴い、今後20年間で大きく成長すると予測されています。 2018年には、出荷価格で420億ドル相当の2,300万トン以上の食材が、オーストラリアのコールドフードチェーンを通過しました。 TomKat KoolPak®は、生産者が商品を新鮮かつ安全に配送することができるように設計されており、KoolPakアプリを使用すれば、生産物の産地証明も可能です。
KoolPakは、他のセクターにも環境効果を波及させることができます。輸送物流は、燃料の使用や温室効果ガスの排出など、環境に大きな影響を及ぼします。既存のポリスチレン梱包でお客様に輸送することは、使用する前から非効率的です。 KoolPakは、パレット単位で、効率的な輸送のために平らに積み重ねて配送することができます。 1パレットには最大140個のKoolPakが収納でき、これは同サイズのポリスチレン製の箱や、平らでないために積み重ね不可能な他の選択肢と比べると約3倍の数です。

当社のトラック & トレース・サプライパートナー - 環境に配慮した取り組み

KoolPakの持続可能性は、すでに世界自然保護基金やブルーエコノミー・ソリューション企業であるNLAインターナショナルから支持されています。また、地産地消は、オーストラリアが2025年までに梱包の100%を再利用、リサイクル、堆肥化できるようにするという国家公約を達成することにも貢献します。
「私たちは、全員がユーザーであり、環境を保護し、改善する役割を担っています。私たちは、世界の自然のままの地域に住んでいます。この状態を何世代にも渡って維持していきたいのです」 SAG： SAGは、元々テキサス・インスツルメンツ社から紹介され、電池不要のNFC温度センサータグを中心に、当社のNFC要件に対するソリューションを提供することに貢献してきました。特に、携帯電話が主な読み取りデバイスであり、何層もの素材を読み取ること、そして電池を不要とすることを考慮すると、私たちのタグに対する要求は厳しいものです。 QRコードやバーコードなど、NFCの他の代替品も評価されましたが、NFCだけが、組み立てられたユニットとしての3つのKoolPakコンポーネントを、電池不要でデータベースやブロックチェーンに登録する効果的な方法を提供します。
NFCは、当社のトラック & トレースの中心的存在です。SAGは、技術や開発の観点からだけでなく、タグ製造や大量供給能力においても「ベストインビジネス」なのです。
LUK ソリューション： SAG同様、LUKはプロジェクトの当初（2019年）から参画し、KoolPakアプリの開発に貢献し、その中でNFCやゲートスキャナ技術の統合に尽力しています。この連携により、両社は大きな課題について体系的に取り組み、複雑な問題に対して実行可能なソリューションを見つけてきました。
「スタートアップ」であるにもかかわらず、SAGとLUKの両社がこのプロジェクトの価値を認めてくれたことは、当社にとって特筆すべきことでした。両社は、資源と時間を費やすリスクを引き受けてくれました。当社は、両社が私たちの側にいて、KoolPakのビジョンを共有してくれていることに大変感謝しています。